思考と現場の間で

「いいサービスづくり」のために、組織づくりやソフトウェア設計など、考えていることを書きます

組織の学び

組織構造を変化させる難しさと意義

チームトポロジーを読み始めた。 チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計 作者:マシュー・スケルトン,マニュエル・パイス 日本能率協会マネジメントセンター Amazon 普段組織づくりの時に考えていることがどういうことかとい…

組織において、悪とは何か?

人を見るというのは難しい。どういう人を採用するか、どういう役割にするか、動機づけするかで、組織のパフォーマンスはまるで変わる。 最近思うのは、組織において悪を見つけ出すことの難しさだ。自分を悪だと思っている人はほぼいないからだ。一方で、成果…

人が力を発揮するためのストラクチャーとジレンマ

エンジニア部門全体をマネジメントする役割をやらせていただいている会社で、徐々に組織が動いてきていることを感じている。何をどうして何がどうなってるのかという詳細への言及は避けるが、表層的には、メンバーが新たなことへのチャレンジを始め、活性化…

アジャイルコーチとシステムコーチング

知り合いの尊敬するシステムコーチング(ORCS)のコーチの方に、ORCSのコースにアジャイルコーチの参加者が増えてきたからアジャイルコーチとは何かを知りたいので、記事を紹介してほしい、というお話を頂いて、僕も改めて調べてみた。例えばこんな記事があっ…

組織と個人へのアプローチの違い

ここ数年組織から個人にアプローチを変えてみている。組織やチームの変革ではなく、個人の成長や学びがテーマだ。 そして、多くの人から感じるのが、個人をテーマにすることへの嫌悪感である。 確かに、個人の学びや成長をテーマにすると、「個人をコントロ…

1on1における問いの効能

1on1 Advent Calendar 2019 の9日目の記事です。 1on1はどちらかが一方的に話すのではなく、主に「問い」によって進められると良い時間になると言われています。ではなぜ「問い」が良いのでしょうか。問いの効能について整理してみようと思います。 人は思い…

問いとは何か

コーチングを受けていると、問いの影響力に驚く。いろいろな発見があるのだ。それは元々自分の中にあったはずだし、自分から出てきたもののはずなのに、新鮮味さえ感じる。自分自身の一面がわかったり、これからの行動イメージができたり、新しい感覚を得る…

1on1とコーチングの関係

NHKでも記事が出ていましたが、1on1が一般的になりつつあります。私自身も数多くの1on1をやってきて、様々な局面で必要な時間になるという実感があります。とはいえ、自己流だけではうまくいかないことも多い上に、エンジニアの周りに専門家も少ないために体…

自律性の高い組織の特徴

最近色々な人に聴かれたり話をしていて、ひとりひとりの力が活きる組織ってなんだろうという問いを考えています。そういうチームに偶然出会えたり、一時期だけでもそうなったり、自分が中心だったチームがそうできたりなど色々あるんですが、一概には説明が…

組織を機能させるには、ハードとソフトの両面をどう融合するか

最近色々な人と話していて、組織づくりにおいて、施策は大きく2つにわけられるなーと思って図示をしてみました。 組織に何かを変化させるときに最初に行うのは左側が多いのではないでしょうか。部門の配置を変えて、部門名を変え、ルールを変え、目標を変え…

マネジメントをしないという実験

いまいる会社は、10数人しかおらず、社長も忙しすぎて週に数時間しかオフィスに来ない。つまり誰もマネジメントしていない。肩書は外の方用に付けられてはいるが、社内では何も関係ない。上下関係も無い。フラット。副業自由、出社時間や退社時間、勤務時間…

心理的安全性が必要な理由

組織には心理的安全性が必要だと言われる。それはなぜなのだろうか。今回は「失敗」を中心に考えてみる。 失敗と成長 人には失敗はつきもの。そして、大きな失敗も小さな失敗も含めて、うまくいかないことは成長のチャンスだ。 そんな失敗を糾弾し、その人の…

自己組織化と意思と秩序

20代で大きな会社や幾つかの組織に所属してみて、組織というシステムに色々疑問を思った。人はシステムや枠組みに行動はもちろん思考まで影響され、それが個人の幸福をそいでしまったり、組織や会社として本質的な成果に向かえなくなるのではないかという経…

「良い戦略、悪い戦略」を読んだ

良い戦略、悪い戦略という本を読んだ。めちゃくちゃおもしろかった。良い戦略、悪い戦略作者: リチャード・P・ルメルト,村井章子出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2012/06/23メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 78回この商品を含むブログ (21件)…

エンジニア組織戦略を構築する上での6つのポイント

最近色々な方と話していて、組織運営上戦略が必要という話をしているんだが、私の説明力が足らずなかなか伝わりづらく、言葉だけで話すのは難しいなと思い、整理する必要性を感じた。ということで、まずは主に全体像であり概要をアウトプットしてみた。やっ…

「効率化をする」というのはどういうことか

「効率化をしてほしい」とか、「もっと速く開発をしてほしい」とか言われませんか?自分としてももちろんそうしたいですよね。わかる。でも、その時によくやってしまうのは、 もっと頑張ろう もっとスキルを上げてスピードを上げよう など、人の能力に依存し…

「1年前に想像すらしていなかったことをやっている」状態を作る

前回のエントリー(ルールを「変化」させ続けられることが組織力になる)の続きです。エントリーは、マネージャーだけでなく全員が、根本的なルールから変化をさせ続けることが組織力になる、という話でした。それが実現できるとどうなるのでしょうか。私の…

ルールから変え続けられることが組織力になる

組織には常に変化が大切です。身近な例だと、日々のカイゼンのような小さな変化が必要だというのは多くの方が同意してくれるのではないでしょうか。大きな変化に関しては、ストレスがかかるので頻繁には起こせないにしろ、必要なこともあるというのもイメー…

組織づくりにおける3つのアプローチ

日々、様々な課題に取り組む中で、組織づくりを行っていく上での施策には、以下のように大きく3つのアプローチに分けて考えるようにしています。単発で行っていくわけでは有りますが、それぞれ3つが影響し合って相乗効果が生まれるようにしたほうがうまくい…

多くの人がコントロールされたいのではないか?という仮説

最近実感するのが、「多くの人がコントロールされたいのではないか」ということです。動物の中で主体性があるのが人間の特徴では有りますが、世の中がシステム化されすぎたせいなのか、どうも主体性の剥奪が起こっているような気がしています。 教育も「決め…

フラットな組織にするならば「上のレベルに合わせ続ける」こと

自律的に動くための「情報の流量」 自律的に動くための「情報の流量」 自律的に動こうと思った場合、何が必要か。情報という視点で分解してみます。 1.自律的に動くというのは、自分で考えて自分で決めて動くこと。 2.自分で決めるためには、判断基準が必要…

SELECKさんに組織づくりの記事を書いていただきました

先日、SELECKさんにインタビューしていただき、組織づくりの記事を書いていただきました。seleck.ccエンジニア急激に増えたタイミングで入社し、組織やチームがない状態でしたので、ゼロから作っていく考え方をお話させていただきました。常に問題は課題が積…

組織の成長のためには植物を育てるように

組織のアウトプットの質を上げるには成長が不可欠 組織のアウトプットの質を上げるには、社員の成長が不可欠であることは疑いようもありません。そこで行われるのは「教育」です。当然事業組織としては、できるだけ早く収益に貢献できるよう、「できるように…

オーケストラが示す未来の組織像

ドラッカーとオーケストラの組織論 (PHP新書)作者: 山岸淳子出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2013/02/17メディア: 新書この商品を含むブログ (5件) を見るオーケストラとともに、最近組織のことを考えることが多くなり、偶然見つけた「ドラッカーとオーケ…

アーキテクチャとチームの関係

多少大きめのプロジェクトになると、当然ながら同じシステムを複数チームで開発をすることになります。その時に、皆さんはどのようにチームを分割しますか?この図は、かなり簡略化しているので、実際はこのように単純にならないとは思いますが、説明のため…

組織を変革することのやりがいと虚しさ

先日、アジャイルジャパン2012の東京サテライト(本会場は大阪)に出てきました。とても活気があって、モチベーションが高いエンジニアがたくさん出ている、とても有意義な会でした。アジャイル開発というのは、開発するシステムが複雑化して、また答えがは…