思考と現場の間で

「いいサービスづくり」のために、組織づくりやソフトウェア設計など、考えていることを書きます

ルールから変え続けられることが組織力になる

組織には常に変化が大切です。身近な例だと、日々のカイゼンのような小さな変化が必要だというのは多くの方が同意してくれるのではないでしょうか。大きな変化に関しては、ストレスがかかるので頻繁には起こせないにしろ、必要なこともあるというのもイメージできると思います。

とはいえ、変化を続ける組織にするのはそう簡単なことではありません。必要な変化とはどういうものかを考えてみたいと思います。

ルールを変えられないゲームは徹底することが必要

例えば野球のようなスポーツは、ルールが決まっています。その範囲内で勝ち負けが決まる。そうなると、その制約内で組織力を創っていく必要があります。そうなると、ルールという制約の上で必要なことをまず徹底することが基本的な組織力になります。ランナー1塁でセカンドゴロの場合はどうするか。1アウトランナー3塁ではどうするか。ルールの範囲内で動きを徹底し、パターンに対応できることをベースとして、打球の動きに合わせて動くことになります。あとは個人として成長することと、連携を強化することでチーム力は上がっていきます。
ただ、実際のサービス開発、ソフトウェア開発ではどうでしょうか。

前提条件から変えないと追随できない

リーンスタートアップやリーン開発、スクラムもそうですが、明確に答えがある中どう効率的に作業をするかではなく、プロダクトや人やチームによって変えるべきだ、自分たちで考えながら変えていくべきだという考え方です。なぜこのような考え方かというと、プロダクトに対しても、チーム運営に対しても、答えが見えていないからです。答えが見えていないということは、あるやり方を徹底していたとしてもその方向性が間違っていたとすると、前提からくつがえり、そもそもサービスの方針からやり方まで変えなければならなくなります。

それはつまり「自らルールを変える、ルールを作る」ことを要求されるということです。そうしないと、環境や状況の変化に対応できません。しかも組織やサービスが大きくなってくると、誰か一人のリーダーが制御するのでは変化のスピードに対応しきれず、メンバー本人たちが小さくまたは大きな変化を起こしながら、答えを探しながら動き続ける必要があります。

ルールを変えることさえもメンバーができるといい

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つまり、リーダーやマネージャーだけでなく、メンバー一人一人がルールまで変えられると、変化の量もスピードも上がるということです。全員現状を観察し、目標を把握し、そもそも論から議論し、前提条件から間違っているのであれば変えていきます。この図のように一人ひとりの変化があれば関係性によってより変化の影響力が多くなり、結果的に変化量もスピードも多くなるイメージです。

そもそも論から議論することは、上意下達の組織ではメンバーがすることは嫌がられる傾向があります。ただ、それはルールが決まっている場合に有効ですが、変化が激しく答えが見えない環境では合いません。その変化のスピードに追いつかないからです。

変化し続けられることが現代の組織力

エンジニアリングの変化の速度、世の中の変化の速度を見ていると、これからより組織的変化の量と速度が要求されるであろうことは多くの方が感じているのではないでしょうか。その変化を経営者やリーダーにゆだねてしまう組織は多いと見受けられますが、それでは追いつきません。答えにたどり着けないかもしれない。もしくは他社が先にたどり着いてしまうかもしれない。誰か一人が考えるのではなく、一人ひとりが現場を見て課題を見て変化させていければそれが掛け算になり組織的変化量が指数関数的に増えていきます。

それを続けていれば、いつか答えにたどり着く。そういう意味で、変化し続けられる組織づくりができていくことが、現代の組織力ではないかと私は考えています。