思考と現場の間で

「いいサービスづくり」のために、組織づくりやソフトウェア設計など、考えていることを書きます

3つのリーダーシップ

デザイン関連のイベントのブログでしたが、組織のお話が主だったようで、大変興味深く拝見しました。

thought.hitoyam.com

テーマは「Designing Change」。組織における人間の限定合理性と意思決定過程の研究を行ったハーバード・サイモンが引用され、デザイナーは組織を変えることができるし、扇動者になることもできるという前提が置かれた。

これはエンジニアでもそれ以外でも同じです。もちろん、デザイナーでも同様だな、と組織を見ていると思います。むしろ、デザイナーのほうが今後より影響を与えられるのではないか、とも思います。なぜなら、「UX」ということがサービスでもプロダクトでもコアであること、今後より単純作業は機械化されるなか、より人間らしいアウトプットが重要視され、そのためには「右脳」を中心にすべてを作らなければならないのではないかと思うからです。

3つのリーダーシップ

こちらで、3つのリーダーシップについて言及がありました。こちらについてあまり知識がなかったので、まとめてみます。

調べてみると、「Transformational Leadership」は英語圏ではポピュラーな概念のようだ。「Inspirational Leadership」は最近の企業に必要なマネジメントスキルという文脈で言及しているサイトを見つけることができる。「Inclusive Leadership」についてもかなりたくさんのソースがある。

Transformational Leadership

https://en.wikipedia.org/wiki/Transformational_leadership

変革のリーダーシップは、リーダーが部下と協力して必要な変更を特定し、インスピレーションを通じて変化を導くビジョンを作成し、グループのコミットされたメンバーと並行して変更を実行する、リーダーシップのスタイルです。変革のリーダーシップは、様々な仕組みを通じ、信者の動機づけ、士気、職務成績を向上させる役割を果たします。これらには、フォロワーのアイデンティティと自己の感覚をプロジェクトと組織の団体アイデンティティに結び付けることが含まれます。フォロワーのためのモデルとなり、彼らを刺激し、プロジェクトへの関心を高めます。フォロワーの強みと弱点を理解し、フォロワーとフォロワーのパフォーマンスを向上させるタスクを連携させることができます。

Inspirational Leadership

https://www.bainleadership.com/introduction/

リーダーシップは、パフォーマンスとインスピレーションの両方を必要とします。インスピレーションスキルは、明示的に定義して測定するのが難しく、通常は自己反映と経験を通してより多くの学習を必要とする点で、パフォーマンススキルとは異なります。しかし、刺激的なスキルを体系的に構築することは可能です。

我々の目標は、私たちのアプローチを使用して、誰もが日々の相互作用を変え、差別化された個人資産と専門的成果を生み出す、よりインスピレーションを与えたリーダーシップを体験し、学び、実証することです。

Inclusive Leadership

http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1203/30/news013_2.html

InclusiveはInclude(巻き込む)から派生した言葉です。米国の教育界で注目されている新しいリーダーシップの概念で、21世紀には、今までのように一部のエリートがリーダーシップをとるのでなく、一人ひとりのなかにあるリーダーとしての資質を引き出しながら、総体としてのリーダーシップを育成する形が主流になるというものです。これで若い人が社会的な責任感を強く持つようになります。

TransformationalとInclusiveは、アジャイルの文脈ではすごく重要です。まさに組織改革に必須。Inspirationalは知らなかったので、もう少し調べてみました。

Inspirational Leadership

https://www.e-sanro.net/jirei/organization/e1508-28.htmlwww.e-sanro.net

(1)心を奮い立たせるリーダーに重要な33の要素を調査・分析し、「インスピレーショナル・リーダーシップ」として体系化。

(2)社員に対してワークショップを行い、自分の考える強み・弱み、伸ばしていきたい項目、周囲からみた強み・弱みを知り、日常の仕事のなかで取り組んでいく。

(3)インスピレーショナル・スキルとパフォーマンス・スキルを明確に区別して運用。画一的な「あるべき姿」がないインスピレーショナル・スキルについては、人事評価体系に組み込まず、各人に合わせた育成を行う。

これは現場では必要性を実感しています。作業をするだけでは価値を出すのが少しずつ難しくなっており、特にエンジニアやデザイナーだと「仕事だからやれ」「給料は我慢料」みたいな価値観はほぼ受け入れられません。実際受け入れられたとしてもパフォーマンスは上がらないんですよね。複雑で答えが無い仕事をやっているので。個人ごとにわかりやすく定量的な目標を提示できませんし、当然仕事のやり方も提示できません。自分で考えてやるしかない。となると、ある程度最良を持ち、我慢するのではなく、もっと真摯にいろいろなことに向き合わないと成果が出にくくなります。

このようにリーダーシップが言語化されていると、その変化がわかりやすいですね。まだまだ日本の現場がこのリーダーシップが主流になるのは見えませんが、変化は着実に起こってますので、押さえておきたいと思います。