思考と現場の間で

「いいサービスづくり」のために、組織づくりやソフトウェア設計など、考えていることを書きます

否定的なフィードバックから進歩は望めない

ハーバード・ビジネス・レビューに掲題のような特集があった。最近実感していることが書かれていたので紹介する。

否定的なフィードバックから進歩は望めない

承認を求めるショッピングをしがちである


組織の中で「非承認的フィードバック」と呼ぶものを受け取ると、人々はそれを出した同僚から離れようとし、新しい別の人間関係を見出そうとします。
社員同士で一緒に働かなくてはならない場合、そういうフィードバックを受けた人は、そのマイナスを埋め合わせるために、社内の別の人達に目を向けてつながろうとします。私達はこれを「承認を求めるショッピング」と呼びます。

Q.否定的なフィードバックは役に立たないということですか?


自分自身に対する肯定的な見解を維持するには、一種の「糧」が必要ですが、否定的なフィードバックはそれを提供しないのです。

Q. しかし、いつでも肯定的なフィードバックばかりだったら、ずいぶん無駄なことに思えますが。


それは、フィードバックは私達をいい方向に行動させるモチベーションとなる、という思い込みがあるからです。私達が言っているのは、そういうモチベーションも起きるかもしれないが、ほかのモチベーションも生まれるかもしれない、ということです。否定的な評価はくださない友人を求める、といったことです。

否定的なフィードバックには、その人の存在とか、あるいは組織にとっての価値を確かめるような面があり、それが問題なのです。そしてフィードバックを常時与えることの是非についての問題でもありません。とにかく、自分の勝ちが認められていると感じる必要があるのです。

承認的な関係があってこそフィードバックが活きてくる


Q. つまり私達は、社員に備わった美徳とその人の価値について、広い意味で肯定すべきだということですか。


そのとおりです。別のラボの実験で、被験者には一覧の否定的なフィードバックを与えました。しかし同時に、10分の間に自分にとって最も重要な価値について書くように求めて、自己肯定する機会を提供しました。すると「承認を求めるショッピング」はほぼ完全に消滅したのです。

この半年間、コーチをやっていて特に感じることだ。フィードバックには「前提」が必要である。それは信頼関係もあるのだが、「根本的に存在を承認している」という関係性であり、姿勢であり、目線だ

個人的には、これまで課題を解決するためには、否定的なフィードバックも必要であると考えていた。時には上記のような前提なしにやったこともある。ただ、ここの記事もそうだし、コーチの経験から言えるのは、それ以前にやらなければならないことは多くあるし、フィードバックのやり方も、その前提をベースにしなければ、逆効果になる。これまでそのような経験を何度もしてきた。

この前提であれば、何か課題に対するフィードバックに関しても、「否定的なフィードバック」ではなく、「前向きなフィードバック」になっていく。それはコーチになって実感している。今後は全てにおいて、この前提を忘れないようにしていこうと思う。