思考と現場の間で

「いいサービスづくり」のために、組織づくりやソフトウェア設計など、考えていることを書きます

全体と個人を行ったり来たりする

組織/チーム=人*人(掛け算)である - 思考と現場の間で の続き。

上記エントリーでは、「組織/チーム=人+人」という話をしたが、そのための一つのポイントを書いてみたいと思う。結論から言うとこういうことだと考えている。

個人の課題とチーム(全体)の課題を全員が両方解決していく。

課題を分解するとどうなるか

普通は、組織の課題や施策はこのように分解することが多いのではないか。

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ただ、このように課題を分割し、担当を明確に分けたりすると、すべての課題が個人に帰着してしまう。一部分ができなければ、結果的に個人を責めることになる。タスクとして担当を明確にするのは重要な部分もあるが、責任もすべて個人にしてしまうと、個人で解決できない組織の課題へのアプローチがしにくくなる。文字通り、組織力が個人の足し算以下にしかならなくなる。

組織的な課題解決は経営陣や管理職(とあえてそういう言い方してみる)しかできなくなり、その人が現場を見られているかどうか、能力が高いかどうかに依存してしまう。かつ現場が組織的課題を見なくなり、自分のタスクという狭い世界での課題解決になり、効率が下がっていく。

個人の課題とチームの課題を全員が両方解決していく

ではどうすればよいかというと、以下ように、上下ではなく、両方重なって考える部分を増やしていくほうが良い。

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普段の会話でも、目標や課題やタスクについては、個人に分けるだけでなく組織やチーム全体の話をしたほうがいい。そうすると、個人の課題だと思っているものが組織全体として解決策を考えることで、対処しなくてよくなる。より必要なことはチーム内で話し合い、もっとチームとして強めれば成果が最大化できる。

これが個人の力を掛け算にすることになるのだ。

全体も考えること。そして、全体と個人を行ったり来たりすること。これが学習する組織――システム思考で未来を創造するで言われている、システム思考の第一歩だ。