思考と現場の間で

「いいサービスづくり」のために、組織づくりやソフトウェア設計など、考えていることを書きます

「良い戦略、悪い戦略」を読んだ

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良い戦略、悪い戦略という本を読んだ。めちゃくちゃおもしろかった。

良い戦略、悪い戦略

良い戦略、悪い戦略

戦略というのは、漢字で書くと戦いを略すと書く。できるだけ戦いを略して、効率よく成果が出せたほうが良いとは思う。ただ、今まで戦略が明確な環境というのにはそこまで出会わなかったので、おそらく戦略を作るのは難しいんだと思う。

戦略が明確でない場合、精神論に走ってしまったり、とにかく残業して成果を出すということになってしまう。そういう働き方が好きな人は意外と多いようなので、それはそれで良いかもしれないが、私は好きではないし、それが日本の労働生産性の低さに繋がっているような気はする(あくまで気がするだけ)。

組織が小さいと大きいではアプローチは違うし、常にとにかく強固な戦略があればいいという話でもない。ただ少なくとも言えるのは、複雑で大きければ大きいほど戦略が有効に効くし、小さくても例えば個人単位であっても、ある程度戦略的に動いたほうが仮説検証がかかるようには思う。なので、粒度やレイヤーは違いつつも、日々このようなことを考えながら仕事や私生活を過ごすのは悪いことではないと思う。

私もこのエントリーエンジニア組織戦略を構築する上での6つのポイント - 思考と現場の間で)のように戦略のことを考え続けてはいるものの、そう簡単にうまくいくわけはなく、これは永遠にやり続けねばならぬ(というかそのほうが面白い)、とこの本を読んで思った。

とてもおもしろくて、本は付箋でいっぱいになった。自分のメモ代わりに、興味深いところをピックアップしてみたいと思う。

悪い戦略の4つの特徴

1. 空疎である
戦略構想を語ってるように見えるが内容がない。華美な言葉や不必要に難解な表現を使い、高度な戦略思考の産物であるかのような幻想を与える。

2. 重大な問題に取り組まない
見ないふりをするか、軽度あるいは一時的といった誤った定義をする。問題そのものの認識が誤っていたら、当然ながら適切な戦略を立てることはできないし、評価することもできない。

3. 目標を戦略ととりちがえている
悪い戦略の多くは、困難な問題を乗り越える道筋を示さずに、単に願望や希望的観測を語っている。

4. 間違った戦略目標を掲げている
戦略目標とは、戦略を実現する手段として設定されるべきものである。これが重大な問題とは無関係だったり、単純に実行不能だったりすれば、間違った目標と言わざるをえない。

なかなか手厳しい(笑)。特に、目標だけ与えてあとは任せた、というのはよく見る。問題は解決すべき課題の選択であり、実行可能なことである。中身まで手をくださないと戦略とは言えないと思う。

良い戦略の基本構造(カーネル

1. 診断
状況を診断し、取り組むべき課題を見極める。良い診断は死活的に重要な問題点を選り分け、複雑に絡み合った状況を明快に解きほぐす。

2. 基本方針
診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針を示す。

3. 行動
ここで行動と呼ぶのは、基本方針を実行するために設計された一貫性のある一連の行動のことである。すべての行動をコーディネートして方針を実行する。

ここで大切なのは、診断では現場を見極め、基本方針では選択をし、行動は実行可能でかつプロセスも含めて設計する、ということだと思う。私の実感では、解決すべき課題の全ては現場にあると思う。ただ、その中で解決すべき課題、創り上げるべきものは、会社や市場の状況を鑑みて選択せねばならない。そして、それが実行されれば、その戦略が動く。そこまでできないと戦略とは言えないと思う。

戦略とは仮説である

 良い戦略は、これはうまくいく、あれはうまくいかない、それはなぜか、といった実際的な知識に基づいている。基礎的な知識やいわゆる常識も大切だが、それらは誰にでも手に入るので、決定的な要因にはなりにくい。最も価値のある知識は、企業にとって独自の知識、自ら発見あるいは開発した知識である。
 企業は、これから進出する分野や強化する分野を積極的に開拓して独自の知識を収集する。科学で言えば、「経験主義」を実践するわけである。良い戦略は、他社には入手できないような独自の知識を存分に活かす機会を提示する。
 新しい戦略は、科学の言葉で言えば「仮説」である。そして仮説の実行は「実験」に相当する。実験結果が判明したら、有能な経営者は何がうまくいき何がうまくいかないのかを学習し、戦略を軌道修正する。

リーンやアジャイルの考え方にもつながるが、私もすべての方針は仮説だと思う。当然戦略も。実際やってみて、軌道修正し続けることが重要。この本に、「戦略とは設計である」という言葉があり、とても共感するのだが、すべて完璧に設計してそれを忠実に実行するというとそれは違う。戦略の粒度も含めて、現状何がわかっていて何がわからないか、何に絞るのかということを前提に、そこまで細かい粒度でなくても走ってみることはとても大事だと思う。それを繰り返せば繰り返すほど、戦略自体の質が上がってくる。

現場と戦略の行ったり来たり、結果と戦略の行ったり来たりをする。どちらか片方ではなく、両方考え続ける。たいへんだけどやらないと戦略がどんどん現実と乖離をして、意味のないものになっていく。

戦略思考のテクニック

1. カーネル(良い戦略の基本構造)に立ち返る
2. 問題点を正確に見極める
3. 最初の案を破壊する

1と2は先に説明されたとおりだが、最初の案を破壊するというのはとても重要だと思う。最初に思いついたことが印象に残っていて、こだわりたくなることは無いだろうか。直感が正しいという話もあるが、そうだとしても、一旦破壊してゼロから考え直すのは有効だと思う。結果直感と同じになればそれで良いし、違う形になってもそれで良い。発想や収集する情報を変えつつ、いろいろな視点で考えていくのが大切ではないだろうか。